ID : 5174
公開日 : 2007年 10月29日
タイトル
緑のオーナー 安易な幕引き許せない(
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新聞名
北海道新聞
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元URL.
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/57799.html
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元urltop:
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写真:
 
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「緑のオーナー制度」で集めた出資金の元本割れが相次いでいる問題で、林野庁は損失の補てんを行わないことを決めた。木材相場の回復に期待し、出資者に契約の延長を促す。
 募集は一九八四年度に開始、九八年度に終了した。全国の八万六千の個人・団体から五百億円を調達した。道内の契約者は約三千六百人に上る。
 九九年度から、成長した樹木の販売が始まったが、一口五十万円の半額程度しか戻らない人が相次いでいる。
 問題なのは募集開始後十年近く、九三年度前期まで、パンフレットや契約書類に元本割れのリスクに関する記載をしていなかった点だ。
 確かに、出資は森林育成への協力の側面があり、利殖目的の金融商品とは別に考える必要がある。
 しかし、国の制度という信用を背景に出資を募った。リスク説明なしに「資産形成に役立つ」などのうたい文句で勧誘した。出資者はこれほどの元本割れを想像していなかっただろう。
 林野庁は「勧誘時に制度の必要な説明を行い、聞き取り調査でも不適切な勧誘は確認されなかった」とし、募集当時は「消費者保護制度の整備途上の時期」として責任を否定した。
 国がこんな言い逃れをしていいのか。消費者保護制度が整備されていなくとも、詳しい説明が必要だった。
 元本割れの要因は輸入材の増加による木材価格の下落だ。募集期間中の九二年ごろから、木材市況は下落傾向となった。林野庁は手をこまねいて、これをただ見ていたのか。募集をもっと早く打ち切るべきだった。
 道内では、上川管内下川町も町有林の育成事業で全国から出資を募った。八二年度と八四年度に一口二十万円で計七千三百万円を集めた。
 ところが、収益が出資額を割り込む事態となり、下川町は出資時からの利息分を加味し、二倍の一口四十万円で返還した。
 利息分を加味した返還には議論があるかもしれない。「緑を育てたい」との善意を裏切るまいとしたのだろう。
 胆振管内旧早来町(現安平町)は同様の事業で元本割れの見通しとなり、不足分を町が補てんした。
 道外の自治体のオーナー・出資制度を見ても、満期時に元本を補てんして返還した例が多い。林野庁とこれらとを比べると、どちらが筋の通った対応といえるか。事業規模が違うにせよ、国にできない理屈は立たない 。
 無計画でずさんな国の制度のつけが再び国民に回る結果となった。林業の再生を怠ったため、国有林の維持管理費が足りずに、広く資金を集めようとしたあげくの事態ではないか。
 この制度を安易に始めた経緯と行政の責任について、今後、きちんと検証することが必要だ。