ID : 5319
公開日 : 2007年 11月10日
タイトル
山村再生/林業にも所得確保対策を
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新聞名
日本農業新聞
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元URL.
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/news1/article.php?storyid=365
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元urltop:
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写真:
 
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わが国は国土の7割が森林に覆われる「森の国」。それにもかかわらず、林業では稼げず、山村は崩壊するばかりだ。福田内閣は地方再生を掲げる。これが本物ならば、最も疲弊が激しい山村の振興は欠かせ ないはずだ。農業とともに、林業を再び盛んにすることが肝要となろう。
 
 戦後の経済成長期以降、山村からの若者の都会流出はとめどがない。過疎化で、65歳以上の高齢者が半数を超える「限界集落」の増加が今や、地方と都市との格差の象徴として、大きな社会・政治問題になっている。
 
 「地方の反乱」による今夏の参院選での自民党惨敗で、政府・与党はやっと地域対策に真剣になってきた。政府は10月初めに地域活性化統合本部を設け、地域再生戦略をまとめようとしている。この中で、山村振興を しっかり位置付けるべきだ。
 
 国土交通省の昨年の調べで、「限界集落」は過疎地の全集落の13%に当たる約7900に上る。同省は地方重視の政治の風向きで、農水、総務両省と連携し、集落維持策の検討に着手。農水省も中山間地域等直接支払 いを使い、限界集落での耕作放棄防止などを支援する方針にある。
 
 だが、国に言っておきたいことがある。限界集落の延命的措置で済ませてはいけない。山村全体の抜本的な再生策を打ち出すべきだ。農業と林業の両方からの所得で暮らしていける山村を取り戻す必要がある。
 
 山村では、山持ち農家が多い。だが、生計は厳しい。農水省の2005年調べで、山間地域の販売農家一戸当たりの総所得は437万円にすぎない。このうち農業所得も79万円と少ないが、林業所得はわずか8万円で無 きに等しい。主に年金と農林業外収入に頼っている。これでは、若者が山村に魅力を感じてU・Iターンしたくても、「とても家族を養えない」とあきらめざるを得ないだろう。
 
 政府・与党は今、農家が悲鳴を上げる米価下落への対応策の詰めに懸命だ。これは山村の農業支援になる。しかし、山村の資源は何より森林だ。それなのに、森林の循環活用になる林業を営んでも適正所得を稼げな い状況は、国の姿としてあまりにもおかしい。
 
 1964年の木材の輸入自由化完了以降、国内の林業は安い外材に押され、青息吐息の状態が続く。政府は今年から地球温暖化防止を主眼に、「美しい森林づくり」を進めている。だが、間伐の補助は経費赤字を埋める 程度にとどまり、山持ち農家の所得にはほとんどつながらない。
 
 元大蔵省財務官で「ミスター円」の異名をとった榊原英資早稲田大学教授は、山の荒廃を憂え、「林業は国家資金をかなり投入しないと成り立たない」と林業再興への財政投入を是認する。山村再生の鍵を握る林業興し へ、直接支払いも含め所得確保を真剣に検討すべき時が来ている。