ID : 5553
公開日 : 2007年 12月 2日
タイトル
県下初GPSで森林の境界確認
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新聞名
長野日報
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元URL.
http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=9085
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元urltop:
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写真:
 
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県諏訪地方事務所林務課は12月から、人工衛星を利用した全地球測位システム(GPS)を使い、岡谷市湊の小田井沢川上流で森林所有の境界確認作業を行う。災害に強い森林づくりの一環で、境界付近にあ る樹木が「誰のものか」を明確にする。GPSを使った境界確認は全国でも事例が少なく、県内では初の試みという。29日夜、湊公民館で森林所有者を対象にした事前説明会があり、約60人が参加した。
 対象地域は、昨年7月の豪雨災害で土石流が発生した小田井沢川上流の森林約18㌶。いずれも個人が所有する私有林で、樹齢50年ほどのカラマツ人工林が大半を占める。かつては耕作地だったため、700平方㍍ 程度の小規模所有が多い。対象は132人が所有する261筆。
 県によると、私有林は、全国的に所有者の高齢化や代替わりで林業離れが進み、森林整備の遅れが深刻化している。背景には境界の不透明さがある。「誰の所有か分らなければ木は切れない。木は成長しているのに 間伐を先送りしてしまうケースが多い」(林務課)という。
 境界確認では、不動産登記のために境界を記した「公図」が一定の目安になるが、起伏がある現地で境界を正確に割り出す資料にはならないという。境界を明確化するには、現地に残る境界杭や人の記憶が頼りで、林 務課は「記憶を持つ人が高齢化しており、ここ数年が最後のチャンス」と考えている。
 確認作業では▽公図や地形図などの図面▽現地に残る境界杭や目印になる境界木、岩、地形▽人の記憶―を手がかりに、境界を見いだしていく。12月10日から14日にかけて、委託業者と所有者が現地に入り、境界 を調査、確認する予定だ。
 また、GPS携帯端末で境界の緯度と経度を測定して黄色い杭を打ち、「所有者の目に見える境界」(林務課)にする。座標データは森林GIS(地理情報システム)で管理し、県と岡谷市、地元花岡区で共有する。工期は 今年度内。事業費は約300万円。
 花岡区の小口瀇明区長は「代替わりで所有する山が分らないという人が多い。このまま放置し、また災害を起こしてはいけない。災害に強い森林づくりをここから全国に発信したい」と話す。林務課は「人と山が離れてし まったことが森林荒廃の原因。自分の山はここだと知っていただくことで、山を管理する意識が芽生える。森林整備のビジョンを描いたり管理をする『山の隣組』ができれば」と期待している。