ID : 5894
公開日 : 2007年 12月28日
タイトル
自動車用新バイオ燃料
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新聞名
フジサンケイ
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元URL.
http://www.business-i.jp/news/for-page/naruhodo/200712280002o.nwc
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元urltop:
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写真:
 
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トヨタ自動車の渡辺捷昭(かつあき)社長は25日、名古屋市で開いた記者会見で、木片チップから作る新しい代替燃料「セルロース系エタノール」の開発に着手したことを明らかにしました。地球環境に対応し た戦略として、ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車に軸足を置きながら、全方位で技術開発に取り組み、着々と「世界一」の足場を固めようとする同社の新たな挑戦ともいえます。
 トヨタに限らず、ホンダも自動車用の新バイオ燃料の開発に着手しています。従来の食用植物からつくるバイオエタノールと、両社が取り組む新バイオ燃料はどのような違いがあり、狙いはどこにあるのでしょうか。
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 トヨタは社外の大学・研究機関と連携し、新バイオ燃料「セルロース(植物の繊維質の主成分)系エタノール」の開発に着手しました。間伐材や廃木材のチップなどから燃料を抽出する技術で、今秋に取得した三重県内の 山林(約1630ヘクタール)の間伐材を用います。
 「クルマだけでなく、インフラやエネルギーまで含めて、総合的な『サステイナブル・モビリティ(持続可能な移動社会)』のあり方を研究する」(渡辺社長)姿勢の一環で、自動車燃料を多様化させる展開でも世界的プレゼ ンス(存在感)を高める狙いがあります。
 バイオ燃料には、サトウキビやトウモロコシなどを発酵させてつくる「バイオエタノール」や、大豆などの食用油をディーゼルエンジンの燃料とする「バイオディーゼル」があり、セルロース系もその一つです。
 バイオ燃料が脚光を浴びる背景には、中長期的に石油の需給が逼迫(ひっぱく)する中で、リスク分散させることが一つ。加えて、大気中の二酸化炭素(CO2)を光合成で吸収する植物が原料のため、燃焼しても大気中 のCO2を増やさないと位置づけられており、地球温暖化対策としても注目が高まっているからです。
 とりわけ、サトウキビの世界最大の産地であるブラジルでは、バイオエタノール対応の乗用車が急ピッチで普及。トヨタやホンダなどの日本メーカーも同燃料対応車を投入し、普及の牽引(けんいん)役となっています。
 ただ、植物由来のバイオ燃料の普及には、問題をはらんでいることも事実です。
 バイオエタノールの製造では、サトウキビやトウモロコシの糖質やデンプン質など、食用と同じ成分を原料とします。このため、供給可能量に限りがあるほか、米国では大豆や小麦などからトウモロコシへの転作が進ん で供給量が不足し、小麦などの価格が高騰するという問題も生じています。
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 トヨタが木片チップを原料にしたバイオ燃料を開発するのも、食用植物を原料にすると、さまざまな問題が出てくることに対応するためです。
 ホンダもすでに、研究開発子会社の本田技術研究所と地球開発産業技術研究機構(RITE)が共同で、食用ではない植物の茎や葉に含まれるセルロース類からアルコール燃料を製造する技術を確立。今年5月には研究 所内に実験プラントを設置し、量産技術の確立に向けた研究開発を加速しています。
 一方で、自動車大国である米国でも、セルロース関連燃料の開発予算を増大させる動きがあり、環境対応の次世代燃料技術の国際競争はすでに始まっているといえます。