ID : 555
公開日 : 2006年 3月16日
タイトル
桜もち 300年の味
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/food/kanmi/20060316gr01.htm?from=os1
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元urltop:
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写真:
 
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浅草から向島に至る隅田川沿いに桜並木が続く。向島の「長命寺(ちょうめいじ) 桜もち」は、土手沿いにある店で、江戸時代に桜もちを考案し、現在も、一年中、桜もちだけを作っている。
 この店の桜もちは、こしあんを小麦粉を練って焼いた薄い皮ではさみ、塩漬けの桜の葉3枚で包んだものだ。
 桜の花びらを思わせる皮は、意外にもモッチリとした粘りがあって、桜の葉の香りと塩味が移っている。あんの甘さと相まって、スルッと食べられる。
 好みだが、私は桜の葉を食べない。食べると塩気が強くなるし、口の中でモサモサするからだ。
 桜もちは、この店の初代、山本新六(しんろく)が1717年(享保2年)に考えた。このころ、土手の桜がさらに植林され、花見客が増えてきた。そこで、土手にたくさん落ちている桜の葉を集めて、しょうゆ樽(だる)で塩漬 けし、菓子に仕立てたのである。たちまち向島名物、さらに江戸名物となった。
 この店に残る記録では、幕末の1824年(文政7年)の1年間に漬けた桜の葉は31樽。桜もち38万7500個分である。多くが花見時分にさばけたそうだから、人気のほどがうかがえる。
 ちなみに桜もちは関東風と関西風がある。関東風は薄い皮で包む長命寺式だが、関西風は道明寺式というもち米の粒であんを包んだものだ。
 「長命寺 桜もち」のもちは半日もすると硬くなり、風味が落ちるので、取り寄せができない。私はそんなことも知らず、昼間買った桜もちを夕食後、家で食べていた。たしかに、買ってすぐ食べてみると、皮の食感が相当 に違う。例えて言えば、ゆでたてのそばと、のびたそばのようなものだ。
 花の季節の前後は店の前に行列ができる。早めに電話予約をしてほしい。店も食べごろを渡すように準備してくれる。(フードライター)