ID : 92
公開日 : 2006年 6月27日
タイトル
森林保全に企業取り込み──大阪府や和歌山県、「環境貢献」参加促す
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新聞名
日経ネット関西版
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元URL.
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/34078.html
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元urltop:
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写真:
 
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荒廃が進む森林の保全に企業の参加を促す動きが広がっている。大阪府は企業が森づくりに人手や資金を出せば地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)の削減対策として評価する制度を創設。和歌山 県も8月、CO2の削減実績を認証する制度を始め、企業が森林保全を進めやすい環境を整える。
 大阪府が始めたのは「アドプトフォレスト」制度。府が企業と森林所有者の仲介役になり森林の「里親」となる企業を募る。保全に取り組んだ企業には森林の面積などに応じてCO2削減量を算定、削減実績と認める。
 府は4月に施行した温暖化防止条例で、CO2排出量が多い府内の工場などを対象にCO2削減計画書の提出を義務づけた。企業は森林保全に取り組んだ分、削減実績を増やすことができ、結果は府のホームページな どで公表される。
 シャープが4月に岸和田市の里山(2ヘクタール)で森林保全を開始したのに続き、日本IBMも6月、大阪府高槻市の成合地区の里山(1ヘクタール)で始めた。荒れた竹林を社員がボランティアで手入れし、植樹や下草刈 りをする。同社は今後5年で延べ700人の社員の参加を見込む。「今年度中に4―5社が名乗りを上げる見込み」(大阪府森林課)で3年で80社にする。
 和歌山県は県内の森林を保全する「企業の森」事業に参画する企業や団体を対象に「森林による二酸化炭素吸収量認証制度」を8月に設ける。
 「企業の森」は企業や労働組合が県内の森林を無償で借り、地元の森林組合と共同で森林を保全する事業。和歌山県は全国に先駆けて2002年度から同事業を始め、サントリーや大阪ガスなど20企業・団体が参加、面 積は約112.2ヘクタールに及ぶ。企業は同制度でCO2削減の認証を受け自社の環境報告書に記載することで森づくりの成果をPRできる。
 林野庁によると企業の森づくりの成果に対し、自治体が評価する制度を設けるのは初めて。
 自治体が森林保全を急ぐ背景には増加する放置林の存在がある。大阪府の森林面積(約5万7000ヘクタール)は府域の約3割を占めるが、うち12%は手入れが行き届かず、荒廃が懸念されている。県の面積の77%が 森林(約36万ヘクタール)の和歌山県も5万ヘクタールが荒廃林で、人が手を入れる造林面積は20年前に比べ3分の1以下に減った。
 荒廃を招いた要因の1つは木材価格の低迷による林業の衰退。担い手の高齢化も進み後継者不足は深刻化している。
 国や自治体が期待するのが企業や非営利組織(NPO)による森林保全だ。林野庁によると森林ボランティア団体は1997年の227から03年に1165に増えた。内閣府の昨年11月の世論調査では、企業の社会的貢献を感 じる活動として6割が森林を守る活動をあげた。
 林野庁が6月にまとめた「企業の森林整備・保全活動」の報告書の作成に加わった東京農業大学の宮林茂幸教授(森林政策)は「企業の森づくりへの理解を広めるには、活動の成果や効果をわかりやすく評価する手法を 充実させることが必要だ。信用度の高い評価基準を定めることができれば企業の新規参入を促すことができる」と話す。