ID : 829
公開日 : 2006年 4月20日
タイトル
森林・林業白書/みんなで支える森林へ
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新聞名
日本農業新聞
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元URL.
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0604/19.html
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元urltop:
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写真:
 
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2005年度の森林・林業白書のキーワードは「国民全体で支える森林づくり」と言えよう。農水省が05年度から国民運動として始めた「木づかい運動」は、暮らしに国産の木材を上手に取り入れ、木を使うこと で、森を育てようというもの。木材が売れなければ、森林の手入れは行われず、山は荒れてしまう。
 
 同白書によると、ボランティア活動で森林づくりを行う企業や団体などが増えており、多くの人が森林づくりに参加したいと考えている。「緑の社会資本」である森林を、国民全体で支えていく方向に今、追い風が吹いて いると言えよう。林野庁などの行政はこの追い風を生かす施策をさらに進めてほしい。
 
 杉の立木価格は、04年が1980年の5分の1、さらに2005年は6分の1となっており、林業経営は依然として厳しい状態が続いている。農水省の調査によると、採算に合わないなどの理由で、山の木が大きく育っても 、伐採する考えはないと答えた森林所有者が63%もいる。
 
 一方、杉などの国産材針葉樹の加工技術の革新が進み、小径木でも合板に利用できるようになったことなどから、合板用の国産材の供給量は01年から4年連続で伸び続けている。04年の合板用の国産材供給量は前 年比52%増、5年前に比べ約4倍となった。国産材の利用面でも明るい材料が出てきた。
 
 人々が暮らしの中で国産材を利用するだけでなく、森林の整備や保全に直接参加しようという動きが活発だ。農水省の調査によると、里山林での下草刈りや炭焼きなどの活動を通して森林づくりに取り組む森林ボラン ティア団体は03年に1165団体あり、2000年の2倍、1997年の4倍だ。自らの手で森林づくりを進めたいと考える人が大幅に増えている。
 
 内閣府が行った「森林と生活に関する世論調査」でも、森林づくりのボランティア活動に「参加したい」と答えた人は全体の40.7%、中でも50代は47.5%、60代では48.9%と高い割合を示した。1947~49年に生 まれた「団塊の世代」は今、60代になろうとしている。これから森林ボランティア活動を広めていくには、注目すべき世代と言えよう。
 
 企業も社会貢献活動として各地で森林づくりを展開。森林ボランティア団体へ助成をしたり、社員を活動に参加させたりしている。背景には「共感を覚える企業の社会貢献活動」の調査で、自然環境保護が72%で断然1 位という数字がある。つまり、森林ボランティアのような自然環境保護活動に参加することは、企業にとってもイメージアップになる。
 
 今、多くの人々が森林に関心を持って、行動を始めている。こうした動きを一層、促進すれば、国民全体で支える森林づくりは大きな成果を挙げることができるだろう。