ID : 136
公開日 : 2007年 3月 4日
タイトル
[木材自給率向上]「日本の林業再生につながるか」
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070304ig91.htm
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元urltop:
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写真:
 
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国内の木材消費量に占める国産材の割合である木材自給率が上向いている。
 背景には、木材の需給を巡る国際的な構造の変化があるだけに、自給率の上昇は今後も続きそうだ。国産材の需要増を日本の林業再生につなげるべきだ。
 わが国では、安い輸入材の増加によって林業が衰退し、その結果、森林が荒廃するという事態が長く進行してきた。
 木材自給率は戦後の一時期、90%を上回っていたが、半世紀の間、低落傾向が続き、近年は10%台に低迷していた。
 それが、2005年には前年より1・6ポイント上昇して20・0%になった。7年ぶりの大台回復だ。輸入が前年より6・2%減少し、逆に国産材生産は3・8%増えたためだ。06年も、自給率20%台を維持する見通しだとい う。
 自給率向上の背景には、急速に経済成長を遂げる中国などの木材輸入量の急増に伴う国際価格の上昇がある。中国の場合、05年の丸太輸入量は3044万立方メートルと、5年間で倍増した。
 日本はこれまで、インドネシア産ラワンなど安価な南洋材を大量に輸入してきた。だが、資源の枯渇から東南アジアなどで、伐採規制が強化されている。
 こうした需給の変化で、木材の内外価格差は縮小、逆転している。
 例えば、合板用の国産スギと輸入北洋カラマツは、04年ごろを境に価格が逆転した。昨年末は、1立方メートル当たり、国産スギ1万3000円に対し、輸入カラマツは1万7500円だった。
 木材市況の変化は、従来、放棄されていた間伐材の利用を促進している。間伐材を薄く削って、住宅用合板に加工する技術開発も進み、04年度の利用量は284万立方メートルで、10年間で約100万立方メートルも増 えた。
 政府は、森林保護と林業振興のための閣僚会議を設け、今後6年間の間伐面積を現行より120万ヘクタール増やし、330万ヘクタールとする目標を打ち出した。間伐材の利用が進めば、森林の保全や育成、さらには治 水効果の維持にもつながる。
 ただ、課題も少なくない。
 日本の森林の3分の2は民有林だが、相続などで自分が森林の所有者になっていることさえ知らない例がある。地元に所有者が不在の森林は民有林の20%以上あり、山の荒廃の一因になっている。
 荒廃を食い止めるには、林業従事者を増やさねばならない。現在は半世紀前の7分の1、約6万人に過ぎない。中高齢者に森林で働いてもらう「緑の雇用」が全国で実施されているが、林業を担う人材の確保、育成は急 務だ。