ID : 1373
公開日 : 2006年 7月22日
タイトル
三次地方森林組合の山林経営信託事業 荒廃防止につなげよう
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新聞名
中国新聞
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元URL.
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200607240025.html
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元urltop:
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写真:
 
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森林組合が山林の所有者と信託契約を結び、経営を引き受ける。全国初のこんな事業が三次市で始まる。「もうかる林業」への転換が主目的だが、山の荒廃を防ぐ取り組みとしても注目したい。
 三次地方森林組合の「経営信託事業」で、契約期間は七十年。所有者の異なる隣接の山林を組合が一括管理し、長期計画に沿って枝打ち、間伐、木材販売などを受け持つ。樹齢百年の木を育てる一方、間伐で空いた 土地に植林し、樹齢の違う山林をつくり上げる計画だ。
 モデル地区として、同市秋町の約百十八ヘクタールを選定。所有者六十九人のうち、まず市外在住の約二十人との信託契約を目指す。地上権を組合に移した上で、作業道を整備、大型機械も投入できるようにする。大 規模経営に切り替えることで、個別経営よりも高収益が見込め、利益が出れば配当として所有者に還元する。
 広島県内の中山間地域では、戦後十年前後からスギやヒノキを植林してきた。ところが、木材の輸入自由化に伴い、国産材の価格は三分の一に暴落、出荷すれば赤字が出るのが実情である。
 経営意欲は減退し、放置林が増えている。加えて、高齢化、後継者難、都市部への移転による所有者の不在化が追い打ちをかけ、山の荒廃は目を覆うばかりだ。
 信託事業は今後五年間で十カ所程度に広げる。成否の鍵は、言うまでもなく採算性だろう。当座は所有者も不良木伐採などの経費負担が必要だが、幸いスギ、ヒノキが間伐材として出荷できる大きさに育っている。
 組合は、農林中央金庫の「森林再生基金」からの助成や、県が林業の構造改革を目指して本年度から始めた所有・経営分離型の「低コスト林業団地事業」と組み合わせ、採算ベースに乗せたい考えだ。将来の価格動向 も的確に見極めながら、配当を出せるように努力してほしい。
 森林は「緑の社会資本」と呼ばれる。木材生産のほか、生態系の保全、二酸化炭素吸収による地球温暖化の緩和、土砂災害防止、水源かん養などに大きな役割を果たしているからだ。荒廃に歯止めをかけるために、 国はまず放置林の実態調査に乗り出すべきだ。
 三次市酒屋地区の自治会連合会は今年、放置林五ヘクタールを借り、「探検と憩いの森づくり」を始めた。各地のさまざまな試みを機に、山林の未来にもっと目を向けたい。