ID : 14582
公開日 : 2010年 1月 1日
タイトル
2010年 年頭所感  農林水産省
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新聞名
農業協同組合新聞
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元URL.
http://www.jacom.or.jp/tokusyu/2010/tokusyu100101-7446.php
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元urltop:
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写真:
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 この戸別所得補償制度と合わせて、農地や担い手など食料供給力の基本となる生産要素の強化に取り組んでまいります。このうち、農地については、昨年六月に成立した改正農地法を適切に運用し、農地の面的集積を 進めるとともに、全国に広がる耕作放棄地の再生を図ってまいります。また、意欲のある担い手を確保するため、就業に関する相談活動や実践的な研修による技術習得への支援を図ってまいります。さらに、機械・施設 の取得に係る無利子資金の融資などにより、資金面から農業経営の改善を支援してまいります。
 次に、森林・林業・木材産業対策の推進です。国土の3分の2を占める森林は、林産物の供給のみならず、国土の保全や水源のかん養、地球温暖化の防止などの多面的機能を通じ、国民生活の安全・安心の実現に重要 な役割を果たしています。中でも、温室効果ガスを2020年までに1990年比で25パーセント削減することを目指すとする鳩山総理が掲げた目標の達成に向け、農林水産分野における地球温暖化対策への取組、とりわけ 森林の整備・保全、木材の利用はこれまで以上にその重要性が高まっております。
 このような時代の要請を踏まえ、間伐を効率的に進めるための森林施業の集約化や、路網・施設整備への支援、国産材の利用拡大に向けた取組などにより、森林・林業・木材産業の再生に取り組んでまいります。このよ うな取組により、雇用の創出や山村の振興にもつなげてまいります。また、森林は国民共有の財産であり、国が責任を持って管理する必要があることから、国有林野事業の一般会計化について早急に検討してまいります 。
 次に、水産対策の推進です。我が国の水産業は、世界で六番目に広い排他的経済水域を有するなど、非常に高い潜在能力を持っているにも関わらず、昨今では、資源状態の低迷、国際的な漁業規制の強化、漁業者の 減少・高齢化など厳しい状況にあります。このため、藻場・干潟の保全等により水産資源の回復を図るとともに、大型クラゲ等の有害生物による漁業被害への対策を講じてまいります。また、燃油などの資材コストの変動 や収入の減少の影響を緩和するなど、漁業経営の安定を図ってまいります。
 第二の観点は、農山漁村の六次産業化です。
 農山漁村は、農林水産業が行われる場であり国民に食料を供給する役割を果たしているのみならず、水・緑・環境の保全や地域コミュニティの形成などを支える基盤でもあります。しかしながら、人口の減少や高齢化の 進行、兼業機会の減少等により農山漁村は疲弊の一途をたどっており、その活力の再生が不可欠です。
 このため、農林水産業・農山漁村に潜在する資源を有効に活用し、地域ビジネスの展開や新産業の創出を図る「農山漁村の六次産業化」を推進します。農林漁業者による加工・販売への主体的な取組、農林漁業者と食 品関連事業者等の連携による商品開発、先端技術を活用した新たな産業の創出を通じ、地域における雇用の確保と所得の増大を図ってまいります。
 一方、農村の中には、中山間地域をはじめ営農条件が著しく不利であり、雇用や所得を十分に確保することが困難な地域もあります。このため、中山間地域等における生産条件の不利を補正するとともに、農山漁村に おける定住・交流の促進等を通じて、地域経済の活性化に取り組んでまいります。
 第三の観点は、食の安全と安心の確保です。
 「食」は生命の源であるとともに、健康で充実した生活の基礎となるものです。生産・加工・流通の各段階を通じて食品の安全と消費者の信頼を確保し、消費者の視点に立った農林水産政策を展開することは、国の重要 な責務です。私は、農林水産政策に責任をもつ者として、国民の食の安全と安心の確保を第一に、全力で取り組む所存です。
 具体的には、日頃から食品の安全に係る情報の収集や分析を行い、農場から食卓までの全ての段階にわたり、科学的根拠に基づいた安全性を向上させるための対策を実施するとともに、農薬や飼料等の生産資材に ついても適正な使用の徹底を図ってまいります。その際、生鮮食料品等の流通の中核となる卸売市場において品質を確保できる、例えばコールドチェーン化など体制の整備、HACCP(ハサップ)の導入など、食品産業 における対策にも意を用いてまいります。また、食品の移動を把握するトレーサビリティの取組の推進や、食品表示Gメンによる不適正表示の監視・取締りなど、消費者の信頼確保にも努めてまいります。
  以上、年頭に当たり、今後の政策展開を中心に私の所感の一端を申し述べました。
 私は、副大臣、政務官はもとより、農林水産省の全職員と一体となって、消費者・生産者など広く国民の視点に立った業務運営を通じ、公約の実現のため全身全霊を賭して取り組んでいく所存です。現在、農政について の基本的な方針を示した「食料・農業・農村基本計画」の見直し作業を行っているところですが、ただ今申し述べた考え方をしっかりと反映させ、これからの食料・農業・農村に希望を持てる計画に仕上げてまいります。
 併せて、政策を検討するに当たっては、その裏付けとなる税金を負担していただいている納税者・生活者の視点も忘れず、大切にするのは当然です。政府が掲げる「財源なくして政策なし」の考え方に従い、無駄を徹 底的に排除し、子や孫の世代も含めた国民全体にとって真に必要な諸施策を集中的・重点的に実施していく所存です。
 本年も国民の皆様の御支援と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。