ID : 1444
公開日 : 2006年 8月 5日
タイトル
「ナラ枯れ」古都を襲う 効果的な対策見つからず
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200608070066.html
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元urltop:
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写真:
 
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 国内の森林の3分の1を占める広葉樹林で、代表的なコナラ、ミズナラといったブナ科樹木が集団で枯死する「ナラ枯れ」の被害がここ数年、急速に拡大している。古都・京都の森林にも飛び火し、林野庁や地元自治体、ボランティアが「緊急事態」と奔走している。だが、効果的な対策は見つからず、景観などへの悪影響の懸念が被害とともに広がっている。
 清水寺や銀閣寺などの名所が集中する京都・東山。昨年8月、国の歴史的風土保存地区に指定されている国有林で、コナラやシイ約230本の表面に直径2ミリの無数の穴が開いているのが確認された。赤茶色に立ち枯れたり枯死寸前だったりした80本が切り倒された。京都市が調査したところ、被害は府県境を越えて滋賀県側にも広がっていた。
 犯人は、体長4、5ミリの甲虫カシノナガキクイムシ(カシナガ)。木1本に千匹以上が侵入し、枯らしてしまう。林野庁京都大阪森林管理事務所は昨年夏に「緊急事態」を宣言。ボランティアの協力を得て、つまようじ9400本を虫の出入り口の穴に埋め込むなどの対策をとった。
 兵庫県でも「爆発的な勢い」(県森林保全室)で被害が広がる。05年度は、前年度の20倍近い109ヘクタールでミズナラなどが枯死した。滋賀では県北部から大津市などへと拡大し、昨年度、被害面積は過去最大の約10ヘクタールになった。
 被害は戦前からあったが、本州の日本海側で集団枯死が確認されたのは80年ごろ。その後も拡大を続け、林野庁によると04年度末までに19府県で被害が出た。04年度の被害面積は、阪神甲子園球場の約280倍にあたる計1114ヘクタール。5年で3倍に広がった計算だ。
 福島県では03年度まで県西部の一部にとどまっていた被害が04年度、一気に県中央部の猪苗代湖周辺に達し、会津地方をほぼ覆った。被害面積も1年で2.3倍に広がった。直線距離にすると1年で40キロ以上も進んだことになるが、原因ははっきりしない。
 林野庁森林保護対策室の担当者は「それまで年2~10キロ程度だった拡大のスピードをはるかに上回った」と驚く。
 被害拡大の原因を研究している京都府林業試験場の小林正秀主任は「人が森林を利用しなくなったためだ」と話す。
 カシナガが好む樹齢50年以上の大木は、昔こそ薪や炭として使われていたが、60年代以降に燃料が石油中心に移ると利用されなくなった。近年はカシナガの繁殖に適した老木に成長している。
 木の幹に薬剤を塗ったり、ポリエチレンを巻いたりなど様々な予防法が実施されているが、本数が多いとすべてを処理するのは難しい。現状では枯れた木を切り倒し、内部のカシナガを殺すのが最も有効な方法だ。
 だが、最近は大木を切る技術を持つ人も少なくコストもかかる。京都・東山では80本を切るのに約500万円かかった。
 被害は今も進む。日本海側では今年になって山形県北部から秋田県境に迫った。県境から世界遺産のブナ森林、白神山地までは約120キロだ。
 同庁は森林の病虫害で最重要の被害だとして、今年度から自治体の駆除事業への補助を増額したが、小林主任は「ナラ枯れは火事のように、あっという間に広がる。被害を見つけてから対策の予算を組む現在のやり方では間に合わない場合が多い」と指摘している。