ID : 14835
公開日 : 2010年 1月29日
タイトル
森林、年々悪化の経営環境 木材価格低下や伐採費用上昇 /宮城
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20100129ddlk04020070000c.html
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元urltop:
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写真:
 
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望まれる長期展望 産業として長い歴史を持ちながら、食に直結する農業や水産業に比べ、現状を知ることが少ない林業。植えてから伐採するまで数十年を要するため、その振興には長期的な展望が必要だ。しかし、木材価格の低下や伐採費用の上昇など、経営環境は年々悪化している。林業には、二酸化炭素を吸収する森林を維持する機能もあるだけに、環境面からも長期的な振興策が期待される。県内の林業を巡る現状と課題を報告する。【伊藤絵理子】
 ◆林業の変遷
 県内の民有林では戦後から1970年ごろまで、多い年で年間6000ヘクタール超の大規模な植林が行われた。第二次世界大戦中、資源として木材が大量に切り出され山林が“丸裸”になった反動だ。中でも杉は「銀行より金利がいい」とされ、伐採が困難な山奥にまで植えられた。
 ところが、その成長を待たず50年代から徐々に関税が撤廃されはじめ、外国産材が流入。乾燥した気候の諸外国に比べ、湿度の高い国内の木材は水分の含有率が高く「扱いにくい」と敬遠された。県内でも、価格と品質の双方で分の悪い国産材の木材生産額は減少の一途をたどり、ピーク時(80年)に比べ、00年には3分の1の50億円にまで落ち込んだ(農林水産省べ)。
 ◆救世主は「合板」
 この状況に一石を投じたのが「合板」だ。農水省の「木材需給報告書」によると、県内の素材生産量は、合板用木材の伸びが製材用とチップ用の減少分を補う形で、ピーク時と同水準にまで回復。00年にほぼ0だった合板用が、07年には生産量全体(59万立方メートル)の41%を占めるまでに成長した。
 合板は、薄い木材を繊維の向きを縦横に組み合わせることで強度を確保できる。木材を周辺から薄く削っていく技術などが進歩し、耐震補強など用途も広がった。石巻市には合板工場が3カ所あり宮城は全国屈指の合板製造拠点となっている。
 ◆林業振興の課題
 立ちはだかる壁もある。その一つが、下げ止まらない木材価格だ=グラフ<上>。大幅な価格下落がせっかくの生産量の伸びを吸収し、肝心の林業従事者の収入増につながらない。
 戦後大量に植えられた杉は、収穫の目安となる樹齢35年以上を超え、伐採を待っている。大型機械の導入で作業を効率化すれば、1人当たりの収入増に直結するが、機械を使える場所や作業は限られている。
 高齢化も深刻だ。総務省の国勢調査によると、県内の林業従事者の50代以上の割合は05年で69%に達した=グラフ<下>。若い世代の新規就業者はいるものの、「採算が取れない」として数年で離れるケースも多く、定着率が高いとは言えない。県林業振興課の菅原俊明主任主査は「今は機械化と高齢化が同時進行している状況。機械の導入で作業効率を上げる努力が終わった後に、高齢化に歯止めがかかっていなければ、誰が山を守ればいいのか」と先行きへの不安を漏らす。