ID : 15070
公開日 : 2010年 2月19日
タイトル
先進的な高知の取り組み--飯国芳明・高知大教授に聞く 
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20100218ddlk39040641000c.html
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元urltop:
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写真:
 
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山村の人口減少、高齢化を考えると、林業は土地を集約した大規模型になり、機械に頼らざるを得ない。そうすると、さらに地域に人が住まなくなる可能性があるので、どう調整するかが課題だ。
 森は人が離れれば、本来の管理水準が守れなくなる。所有者ごとの土地の境界が不明になり、相続もされないといった問題がある。だが、森には国土を守る公共的な役割があるため、行政も補助金などで投資している。今のうちに土地をきちんと整理しないと、次世代に引き継げなくなってしまう。今後は所有者責任のあり方も問われてくるだろう。
 そんな中、木材はエネルギーとして新しい芽が出てきている。原子力が「濃いエネルギー」ならば、木質バイオマスや風力などは「薄いエネルギー」と言うことができる。
 例えば、木質ペレットを燃料にするストーブ。長い目で見れば、化石燃料よりも費用が安く済むといった研究もあるが、幅をとるので都会ではなかなか置きにくい。また、風力発電にしても遠距離なら送電ロスが大きくなる。効率を考えれば、エネルギーの地産地消が必要だ。そうなると、都会一極集中の経済は無理が出てきて、分散しなくてはならない。これは地方活性化に向けたテコになり、エネルギーと共に人間も薄く広がる社会になろう、といった発想があってもいいのではないか。
 そこで山村に目を向ければ、県北部の吉野川の南側流域には数百ヘクタールに上る田んぼが広がり、うまみの豊かな米が本山町や土佐町などで取れている。林業だけではなく、農業なども組み合わせていろんな産業を創出しないと、生活維持や人口減対策には応えていけない。また、嶺北地域には大学生ら若者が入り、活性化の方策を考え始めている。山村、林業の現状は厳しいことに変わらないが、可能性を探る余地はまだまだあるはずだ。
 いずれにせよ、高知の森を巡る取り組みはめざましいものがある。森づくりへの参加などを狙いとした全国初の森林環境税(03年スタート)は全国に波及し、今も続いている。そうした流れで、84%という日本一の森林面積率を丸ごとブランド化する「84プロジェクト」が民間主導で始まり、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量取引も活発だ。森に関しては先頭にいるんだ、というぐらい県民は胸を張っていいはずだし、それだけの実績は十分にあると思う。