ID : 15270
公開日 : 2010年 3月 7日
タイトル
1軒すべて県産材モデル住宅CO2大幅減可能に
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/yamanashi/news/20100308-OYT8T00355.htm
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元urltop:
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写真:
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県産材の住宅は環境に優しい――。県内の製材会社などでつくる「県木材製品流通センター協同組合」が、初めて県産材だけを使用したモデル住宅「甲斐の家」を完成させ、本格的なPRに乗り出した。地元の木のぬくもりに加え、輸入木材と違い、船やトラックで運搬する際の二酸化炭素(CO2)の排出量が大幅に抑制できる点がセールスポイントだ。価格も他の国産材の住宅より少し抑えめになっている。(松本将統)
 甲斐の家は2月下旬に完成し、木造2階建て、延べ床面積約115平方メートル。2階までの吹き抜けがある開放感のある造りで、柱や床の県産材が温かさを感じさせた。県内最大の県産材流通拠点「木の国サイト」(南アルプス市上今諏訪)で公開されている。
 外壁や土台、柱には、耐久性に優れ、水や害虫にも強いヒノキが使われた。峡南地区から切り出されたものだ。1階の梁(はり)に使われるのは加重に強いアカマツで北杜市産。床板や腰板、2階の梁はスギで南部町産という。テーブルやいすなど家具は富士北麓(ほくろく)地域のカラマツ製だ。同組合の戸栗敏理事長は「純粋な県産材でこれだけ質の高い住宅を造れるといういい実例になった」と語る。
 木材以外にも、壁紙やふすまには身延町特産の西嶋手すき和紙、外構には甲州市大和産の甲州鞍馬(くらま)石を野積みするなど、とことん県産品にこだわった。
 甲斐の家は、県産材住宅を推進する県内の設計事務所や工務店でつくる「やまなし森と住まいのネットワーク」と共同で建設。同ネットワークの代表幹事田辺久さん(54)によると、海外の輸入材だけの家と比べて、約95%も運搬の際に発生するCO2を削減できた計算という。
 国産材を主に使った住宅の単価が坪70万円以上とされる中、甲斐の家の建設費は約2200万円で、坪60万円程度に抑えた。ヒノキなど高級な木材を必要な部分だけに限定したためだ。
 山梨県は、県土の約8割が森林で、そのうち半分近くが人工林だ。しかし、県の概算では、県内で使われる木材のうち県産材の割合は5%程度。需要の低迷で、県内の森林の間伐や伐採などが進まず、荒廃するという悪循環に陥っている。
 甲斐の家のように、県産材を使った家が増えれば、伐採、植林、間伐という手入れのサイクルの復活につながると期待される。木は成長期に多くのCO2を吸収するため、長い目で見れば温暖化防止にも役立つ。しっかりと根を張った森は、雨水の保水・浄化能力が高まるため、水資源の確保、土砂崩落などの災害を防ぐことにもつながる。
 県産材をふんだんに使った家の売りは何と言ってもその快適さだ。2月27、28日の内覧会には約270人が来場し、大半が「木の香りがいい」「温もりを感じる」「心が落ち着く」などと高く評価した。
 田辺さんは、「100%ではなくても、住宅の中に県産材を取り入れることが、環境を守ることに直結すると理解してもらいたい」と話す。当面は同ネットワークのメンバーが週末、来場者に甲斐の家の良さを説明する予定だ。