ID : 15304
公開日 : 2010年 3月11日
タイトル
間伐で 森と地下水 生かしたい
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://mytown.asahi.com/shizuoka/news.php?k_id=23000001003100001
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元urltop:
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写真:
 
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森づくりに、退職金をつぎこまれたそうですね  渡辺 定元さん(76) 富士山麓(さんろく)で、広大な森林が間伐されないために荒れ果てていく。このまま放置すれば、地下水も危うい。森の再生を目指して、農学博士が立ち上がった。◇ -植物とのかかわりはいつごろからですか 先祖は、平安時代末期に、ここ(白糸の滝に近い富士宮市原)に移住してきたと聞いています。植物が好きで、子どもの頃から富士山中や田貫湖周辺の植物を調べて歩いたものです。小学校6年の時には、田貫湖でキスミレを発見したこともあります。 -著作で、1995年に富士山麓の荒廃したヒノキ林を見て、「無間伐の放置森林の健全化の技術を追求しようと決意する契機となった」と書いています 戦後、木材増産のために、原野にスギ、ヒノキを植林する拡大造林政策が進められ、富士・箱根地区では1万ヘクタールも植林された。その多くが無間伐で放置されている。 間伐しないと森の中に光が入らないため、森の地表の植物が枯れます。このため、雨が降ると、土壌が流失し、樹木の根が地表に露出してしまう。山全体の土壌保全や水源涵養の機能が低下してしまうのです。 -機械を利用して効率的に間伐を進め、雨水を地下に浸透させる「防災水源涵養(かんよう)路網」の整備を提唱しています 自然に逆らわない、自然と共存するよう設計した作業路を設置し、作業車が山林に入りやすくして間伐を進める。作業路に側溝をつくり、浸透桝(ます)や土でつくった小型ダムを設置して、降った雨を100%、地下に浸透させる方法です。地下で水をコントロールする、世界に先駆けた技術だと自負しています。 -実際に、施行してみて効果はいかがでしたか 95年に富士市大淵の140ヘクタールの私有林で、私が指導して実践し、成果を上げた。その後、富士宮市の市有林や民有林でも実施しています。だが、まだ間伐が必要な山林の1%にも満たない。国や自治体にも支援してもらい、富士山麓はもちろん、全国の森林に広げたいですね。 -森林所有者に利益はあるのですか 私の提唱している方法で間伐を進めれば、山林所有者も木材の売却で収益が出ます。私個人は、木材を搬出する機械をメーカーに製造させるのに、東大の退職金を全部、つぎ込んでしまいましたが。 -森林保護の市民活動にも積極的です 96年に、富士山麓を襲った台風被害跡地の森林再生をボランティアの手で進める「富士山自然の森づくり」の結成に参加し、初代の理事長を務めた。どんな小さな市民グループでも講演など協力を求められればサポートするようにしています。 環境問題について正しく理解してもらいたいし、皆さんが努力してくれるのはありがたい、と思う。 -地球環境が心配です この50年間、北海道の日高山脈で、高山植物の観察を続けていますが、貴重な植物が消滅するなど温暖化の影響は確かに出ている。気温が上昇すると地球が乾燥化し、アメリカ、中央アジアなどの農業地帯で水不足が深刻になる。 そうなると、良質な水は経済的にも、重要な資源になります。富士山麓の森林の保全を図り、豊富な地下水を輸出に回せるようにしたい。