ID : 15345
公開日 : 2010年 3月12日
タイトル
間伐紙:森再生へ自治体・企業が取り組み 売り上げの一部、山林所有者に還元 /佐賀
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/saga/news/20100313ddlk41040500000c.html
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元urltop:
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写真:
 
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スギの間伐材で作ったコピー用紙の売り上げを山林の所有者に還元する取り組みが、九州で進んでいる。安価な輸入木材による国産材の価格低迷を背景に、資金難に苦しむ山林所有者が間伐作業をできずに山林が荒廃する……。そんな「負の連鎖」を消費者の後押しで食い止めようという全国初の試み。運動の輪は、参加する企業・自治体が250を超すまで広がっている。【伊藤奈々恵】
 林野庁の07年の調査によると、九州の森林の約55%はスギやヒノキの人工林。人工林は成長に応じて間伐をしないと細長い樹木が密集し、台風などの被害を受けやすくなる。林の中が暗くなると他の草木が育たず、森の貯水力も落ちる。だが、伐採した木材を市場に出しても価格が安く赤字になるため、間伐されずに荒廃している森林は多いという。
 この取り組みを進めているのは、製紙メーカーや九州森林管理局でつくる国民が支える森林づくり運動推進協議会。「市民の力で間伐を後押しできないか」と考え、市民が最も身近に接する木材製品の「紙」に着目した。昨年4月、スギの間伐材と古紙を原料にしたコピー用紙を「木になる紙」と名付けて製品化。価格に紙1キロ当たり5円を上乗せし、間伐した山林所有者へ還元する試みを始めた。
 森林の状態にもよるが、1ヘクタールを間伐すると所有者は2万円程度を受け取ることができる。所有者への還元業務を担当する松下生活研究所(熊本市)の松下修代表は「普通は間伐してもお金にならないから、還元金を振り込むと驚かれることも多い」と話す。昨年末までに既に約200万円を還元したという。
 「木になる紙」は、森林所有者への還元金に加え、原料の分別や製造にコストがかかるため、一般の用紙に比べて1キロにつき10円ほど割高になる。それでも、趣旨に賛同した佐賀市役所や九州各県の林業担当部署、建設会社などが導入するようになった。
 九州大学大学院の佐藤宣子教授(森林政策)は「“間伐紙”を使うことで消費者として山村を応援できる。定着すれば水源かん養などの森林機能の維持向上にもつながる。たくさんの人が使えば、大きなうねりになる」と期待を寄せている。