ID : 159
公開日 : 2006年 1月25日
タイトル
子どもを守ろう 今市の団体 通学路の木々を整備
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新聞名
東京新聞
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元URL.
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tcg/20060125/lcl_____tcg_____000.shtml
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元urltop:
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写真:
 
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今市市の小一女児殺害事件で、通学路の安全に関心が向けられる中、雑木林や道沿いの木々が、死角を生む障害物として問題視されている。そうした危険を改善しようと事件後、木々の伐採を行ったボランティア団体が同市にある。子どもを守る取り組みとして学校や地域からも好評を得ているが、同会の活動からは、地域の里山の危機も透けて見えてくる。 (杉藤 貴浩)
 年も押し迫った先月二十五日、今市市立大室小学校の通学路二カ所で、地元ボランティア団体「大室の森をつなぐ会」のメンバー八人が、木々の手入れを行った。高さ二十メートルはあるスギやヒノキの、下から半分ほどの枝を伐採。朝から日暮れまでの丸一日、電柱の工事などに使われる高所作業車も出動させての大仕事だった。
 「児童が集まる近くのバス停からの見通しも良くなった」と同会代表の安西三千夫さん(49)。通学路は明るさを取り戻し、学校や雑木林の所有者からも感謝された。
 同会が生まれたのは、二年前の夏。大室地区の高〓(たかお)神社の石垣を整備していた氏子が、一帯の里山を自分たちの手で守っていこうと結成した。現在のメンバーは十三人。
 「みんな地元の人間。職は建築、林業、腐葉土製造など、幅広いですよ」と安西さん。通学路の手入れに、高所作業車を使えたのもそのため。一芸に秀でたメンバーが同会の力だ。
 「でも」と安西さんは複雑な表情で林業の現状を語る。「森のために間伐をしても、枝のほとんどは売れない。こちらがお金を払って引き取ってもらうくらい」
 安西さんが子どもだったころの里山は、ほどよく人の手が入っていた。隣同士ぶつかり合うほど伸びた枝は刈られ、風呂を沸かしたり暖をとったりする薪(まき)となった。結果、森は明るさを保ち、日の光が届く地面に生えた草花が、十分な保水力を持っていた。
 「だが今は真っ暗な森ばかり。山がどんどんだめになっている」。会社勤めが増え、安価な輸入材が大量に出回る時代になっていた。
 同会は、そんな里山を再生しようと、高〓神社周辺の間伐を進め、地面にはユリの球根五千個以上を植えるなど、先を見据えた活動をしている。伐採したスギの葉を粉にして線香をつくるため、神社の近くに水車も造った。
 今回の事件で注目を集めた通学路の手入れは、地元を思うそんな活動の一つだった。
 だから安西さんは今、親しんできた森の木々が“悪者”として取りざたされるたびに思う。「今さら障害物と言われても、困っているのは木や森の方なんじゃないかな。自分の住む地域に関心を向けてこなかったのは人間の側だから」
 子どもの安全と身近な自然、守るものは違っても、問題はどこかでつながっているような気がしている。