ID : 2176
公開日 : 2006年 11月29日
タイトル
木材自給率20%台回復 好調間伐材が主役
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/47/naruhodo271.htm
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元urltop:
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写真:
 
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針葉樹の加工技術確立 間伐で手入れの行き届いたスギ林(福井県で、林野庁提供)  国内の木材総消費量に占める国産材の割合を示す2005年の木材自給率が、1998年以来7年ぶりに20%を回復した。大半が放置されたままだった間伐材を、住宅の床や壁に用いる合板として加工する技術が向上し、国産材の消費量を押し上げた。木材自給率は06年も20%台を維持する見通しで、間伐材を入り口にして国産材に復活の兆しが見えてきた。(向野晋)
 ■輸入材減少 05年の国内の木材総消費量は、一戸建て住宅の減少などで前年比4・4%減の8586万立方メートル。輸入量が6・2%減る一方、国内生産量が3・8%増の1717万立方メートルで、自給率は1・6ポイント増の20・0%になった。自給率は99年に20%を割り込み、00年、02年には過去最低の18・2%まで下がったが、ここにきて持ち直した格好だ。
 輸入材が減少した背景には、国際的な需給関係の変化がある。中国で住宅用建材や土木用資材の消費が急増し、合板の主力輸入先であるインドネシアでは、違法伐採に対する規制が強まっている。
 国内では、輸入材不足を補うため、住宅メーカーなどを中心に国産材需要が増えた。合板用材の生産量が58・1%増、住宅の柱などになる製材用材が0・9%増、紙の原料のパルプ・チップ用材が4・2%増と軒並み伸びた。
 ■「かつらむき」  合板用材の大幅な伸びは、間伐材の生産増でまかなわれた。幹が細い針葉樹の間伐材を合板に加工する独自技術が確立されたことが大きい。従来は太いマレーシアの南洋材(広葉樹)が主流だったが、資源保護のための伐採規制が強まり、国内の合板加工メーカーが針葉樹の利用を増やす必要に迫られた側面もある。
 林野庁によると、間伐材生産量は、1994年度の172万立方メートルに対し、2005年度は280万立方メートル程度と見積もっている。
 合板は、原木を「大根のかつらむき」のように機械で薄くむき、張り合わせて作る。合板加工で国内トップのセイホクは、2000年から間伐材利用と合板加工技術の改良を進めてきた。現在では、直径10~30センチの間伐材をむき、最後に3・3センチの芯を残すだけの技術水準に達した。同社グループ全体の間伐材の利用割合は、全原木の3割を占めているほどだ。
 1950年代の木材自給率は90%を超えていた。需要増を見越して、政府が61年から輸入材の積極導入に踏み切ったことで下降のスピードが加速する。安価な輸入材に対し、国産材は急速に競争力を失った。間伐材は運び出すコストで採算が合わないと放置されたり、伐採が見送られるようになった。
 日本の森林面積のうち4割が、戦後の木材不足を解消するために植林された人工林。だが、手入れが行き届かないところも多い。間伐しなければ、木の生育を妨げるだけでなく、草や低木が育たず土が流れやすくなる。
 このため、林野庁は2000年度から年間の伐採目標面積を30万ヘクタールに設定して、間伐を推進している。切り出された間伐材が合板に生まれ変わっていく。間伐によって光が差し込み、地表の植物が育ちやすくなることで、二酸化炭素の吸収力を高めて地球温暖化対策になるという好循環も期待されている。
 ■安定供給カギ  今後も、間伐材など国産材の利用が拡大していくには、「メーカーにまとまった量が安定的に供給されること」(セイホクの藤川俊一・経営情報室長)がカギだ。
 昨年以降の輸入材離れにしても、供給量が細ることで輸入材の価格が上がり、「割安感の出た国産材にシフトした面もある」(日本合板工業組合連合会の近江克幸専務理事)という。輸入材と国産材の価格が接近すれば、安定的に調達できる輸入材が優先される可能性は大きい。
 林野庁は今年度、森林組合などが零細な林業就業者をまとめることで木材の調達や加工の規模を拡大し、住宅メーカーや合板加工メーカーの要求に応じた製品を供給する動きを後押ししている。
 ■「安さ制限」に疑問の声も 国交省も、公共工事への信頼性を確保するために、低価格での入札には一定の歯止めが必要との立場だ。4月から「低入札価格調査制度」の調査対象を拡大したほか、一部の工事現場にモニターカメラを設置して施工状況を把握できるようにした。
 10月には、一般競争入札の大規模工事を対象に、「入札ボンド制度」を段階的に導入することにした。建設会社が契約通りに工事を実施できることを、損害保険会社などが財務状況の審査などを通じて保証する制度だ。不適格業者の排除や低価格入札の歯止めに効果があるとしている。
 しかし、業界団体や与党、国交省がそろって低価格入札の歯止めに動くことには、大手業者などから「企業努力で安くしているものまで制限すべきなのか」と疑問の声もある。
 発注者側が事実上の最低価格を決めるような仕組みになれば、落札価格の高止まりを招きかねないとの懸念もある。
 奈良女子大大学院の中山徹・助教授は「一般競争入札の導入と談合防止の取り組みで落札価格はどんどん下がってきた。建設業界は低価格入札の対策を求めているが、対策が行き過ぎると、新たな“談合”になりかねない」と指摘している。