ID : 2281
公開日 : 2006年 12月13日
タイトル
白老の森と清流を往きトドマツの枝打ちを学びサケの遡上に感動
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新聞名
JanJan
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元URL.
http://www.janjan.jp/column/0612/0612120315/1.php
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元urltop:
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写真:
 
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晩秋の10月29日と初冬の11月26日、白老町のウヨロ環境トラストの森で行われた「北の里山保全ボランティア体験会」という催しに参加した。
 白老町は、北海道の南西部、高校野球で名を馳せた苫小牧市と温泉で名高い登別市の中間に位置する。札幌から特急列車で1時間、車なら高速道路利用で1時間半で行けるが、有り難いことに北海道庁正門前から、無料の送迎バスが出るというので、いそいそと駆けつけた。
 主催団体のウヨロ環境トラストは、北海道らしい里地、里山がまだ豊かに残っている白老の田園的風景を保全し、後世に残そうと、町内外の有志が集って、5年前に結成され、1昨年秋、北海道からNPO法人の認証を受けた。
 北海道には、寒冷に強く、生長も早いカラマツの人工林が多い。戦後、30年後、40年後の「利殖」を目論んで、盛んに造林されたが、安い外材の輸入が活発になるにつれ、採算割れになり、間伐しない、伐採後に植林しない「放置林」が増えている。
 ウヨロ環境トラストは、会員がお金を出し合い約8haの山林を買い取っているが、ほかに間伐材を貰い受けることを条件に、不在山主と協定して、手入れをしている山林も9haある。森づくり、自然再生のほか、子供たちに木の文化を伝える環境教育など、多彩なボランティア活動を続けている。
 10月下旬の体験会には、筆者同様「定年後」のシニアが多かったが、11月下旬の会は、大学生ら若い女性グループも加わり、華やかだった。現地に着くと、全員が用意されたヘルメットをかぶり、軍手をつけて、カラマツ林に入った。3,40年前に植えられたと思われるカラマツは、30m近くまで伸びている。町の林業指導員の方の指導で、枝にノコをあて、ごしごし切り落としていく。上の方は、素人には無理だが、2~3mあたりの下の方の枝を切り落としただけでも、さっぱりし、日当たりも格段に良くなったような気がした。指導員の間伐実演も見学して、1時間半ばかりの体験会を終えた。
 トラストの森の入り口には、大工さんもいる会員たち手づくりの大きなログハウスがある。その横手に30人はゆうに腰かけられるバーベキューの炉がある。真っ赤に熾った炭の上に鉄板がわたしてあり、おいしさは松阪牛や神戸牛にも、ひけをとらないという白老牛が、ジュウ、ジュウと焼け、参加者一同舌づつみを打つ。白老は海の町でもあり、10月には、獲りたての生シシャモ、11月には、卵がプチ、プチ入ったハタハタが加わった。焼きおにぎりに、缶ビール、デザートに焼きイモも付いて、会費2,500円。くちくなった(編集部注:いっぱいになった)お腹をなぜながら、申し訳ないような気がした。
 腹ごなしにウヨロ川フットパス(14km)を歩いた。イギリス発祥のフットパス(Foot Path)とは、地域の自然や歴史、文化資源などをつないだ歩く道のことで、当地のフットパスは、環境トラストの会費たちが整備に汗を流した。肝振地方の最高峰、ホロホロ山麓の湿原を水源とするウヨロ川は、水質良好なことで知られるが、左岸沿いに歩を進めると、産卵のため、遡上するサケの群れを目の当たりにすることが出来た。雌雄一対になって、生まれた川を上がってくる。雌が尾鰭で砂利をかきわけ、卵を産み、雄が放精して受精させる。産卵を終えた親魚は力尽き死亡する。川底は死屍累々。それを目ざして、海鳥が群れをなして飛来する。中には、ひときわ大きいオオワシも混じっている。大自然の中で繰り広げられる生命の終わりと始まりの壮大なドラマに胸を打たれた。サケの遡上は1月で終わるが、雪解けの頃からサクラマス(ヤマメ)の遡上が始まる。