ID : 2532
公開日 : 2007年 1月21日
タイトル
エタノール燃料 活用は農林業をも刺激
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新聞名
秋田魁新報
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元URL.
http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20070121az
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元urltop:
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写真:
 
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県内のガソリン価格は一時の高値から値下がり傾向となってている。といっても、世界の原油埋蔵量が増加したわけではなく、今後は途上国の需要が急速に高まると予想される。資源をを大切にし、消費抑制に努めなければならない事情は同じだ。
 そうした中、注目されているのは生物資源からつくるバイオ燃料の一つで、サトウキビやトウモロコシなどを原料とするバイオエタノールだ。それを世界で初めて廃木材から生産する工場が大阪府堺市に完成し、16日に開所式が行われた。植物は成長時に二酸化炭素(CO2)を吸収するため、燃やしてもCO2の排出量はその植物の吸収したCO2量と同じとされ、差し引きゼロとカウントされる。
 バイオエタノールの木材からの生産は困難とされてきたが、環境省の補助を受けた民間企業が遺伝子を組み替えた微生物を用いて可能にした。年間生産量1400キロリットル。コストはガソリンの原価に及ばないが、無用となったものを役立てられる意味は大きい。環境省は今夏からこのエタノールをガソリンに3%混ぜた燃料「E3」を関東や関西のガソリンスタンドに供給し、普及を図る計画だ。
 ほかにも北海道十勝地区で規格外小麦を、沖縄県伊江村では新品種のサトウキビを原料にしたりと、積極的な取り組みがみられる。秋田県立大学では、秋田杉の間伐材のチップをミクロンの大きさに砕き酵素でエタノールにする技術開発が進む。実験では成功し、実用化のためのプラントを計画する段階にある。大いに期待したい。
 政府の掲げたバイオエタノールの導入目標は22年度まで50万キロリットル。現在の年間生産量は30キロリットルだが、安倍晋三首相は昨年11月、国内生産量を現在のガソリン使用量の1割に当たる年間600万キロリットルに引き上げるように指示した。
 バイオエタノールを、環境省は地球温暖化防止に向けてC02排出量を削減する有力な切り札に、農水省は農業の新たな振興を図るきっかけにしたい考え。さらに秋田杉の間伐材利用にみられるように、各地の実情に沿った技術革新も見込める。
 ただ、石油元売り業者はバイオエタノールとガソリンを混合して供給する環境省の事業とは別の手法をとり、環境省への協力には難色を示している。石油連盟はバイオエタノールから化学的に合成した「ETBE」という物質をガソリンに加えて普及させる方針だ。それぞれ一長一短があり、国は混乱を招かないよう併用も含め早い時期に対応策を決めるべきではないか。
 懸念されるのは、混合ガソリンの需要拡大にはサトウキビからの生産国ブラジルに多くを依存しなければならないことだ。バイオエタノールについては、世界の食料需給バランスを崩すのではないかと心配する声もある。複数の輸入先の確保、国内生産体制の拡大が課題だ。
 ほかにも、高い生産コスト、混合ガソリンの供給体制の整備とハードルは高いが、メリットは大きい。先の東アジアサミットではバイオ燃料の活用が強調された。人々の関心を高め、理解を促していけば、ハードルは低くなることだろう。