ID : 3169
公開日 : 2007年 3月20日
タイトル
クリーンエネルギー “循環型”全国に発信/岩手・葛巻町
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新聞名
日本農業新聞
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元URL.
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin8/article.php?storyid=786
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元urltop:
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写真:
 
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北上山地に抱かれる岩手県葛巻町が、畜産ふん尿や廃材を使ったバイオマスや風力発電など新エネルギーに取り組んで10年。今では町の電力の8割を賄うほどになった。温泉も観光地もない過疎に悩む町が、既存の産業を活用し住民の協力で「循環型でクリーンエネルギーの町」として全国に発信する。
 同町の面積は横浜市とほぼ同じ435平方キロメートル。86%が山林で、主産業は酪農と林業とヤマブドウワイン。約3000戸、8400人が暮らす。牛は1万2000頭飼育され本州一の酪農の町だ。
 人口減少の歯止めと活性化を目的に取り組んだのが1998年の町総合発展計画でうたった「エネルギー100%自給」。町農林環境エネルギー課の近藤勝義課長補佐は「さまざまな対策を打ったが、町にはこれが必要だった」と強調する。
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 まず風力発電、次いでバイオマスに取り組んだ。バイオマスは、畜ふんと木質のバイオマスガス、木質ペレットの3つ。
 第三セクター・畜産開発公社が運営する「くずまき高原牧場」は畜ふんと木質バイオマスガスのモデル事業に取り組む。
 畜ふんバイオマスガスプラントは2003年に導入。牛のふん尿と生ごみを投入し、メタン発酵させて燃やし電力にするほか、液肥を生産する。1日に乳牛200頭のふん尿13トンと生ごみ200キロを使い、年間6万2000キロワットの電力を生み出す。液肥は牧草地に還元している。
 木質バイオマスプラントは05年に導入。森林整備の過程で発生するカラマツなどの間伐材を有効利用する。1日3トンのチップで120キロワット発電し、チーズハウスなど牧場内の5施設に送電する。
 3つ目の木質ペレットは、木や木の皮を細かく砕いて圧縮して、2~3センチの円筒状にした燃料。ストーブに使うが、化石燃料と比べて温室効果ガスの発生が極めて少ない。今後、一般家庭や公共施設でストーブ利用を普及する構えだ。 □ □
 新エネルギーに取り組んで10年。今後目指すのは木質バイオと畜ふんバイオの連携。近藤課長補佐は「ふん尿バイオガスを予備燃焼に森林資源を生かして炭を作る。その炭でさらに新しい燃料を作る。新エネルギー利用をさらに推進する」と話す。
 町の電力は8割が新エネルギーになった。「エネルギー100%自給」のため、バイオマスをさらに増やす構えだ。そのため、町は酪農家や林業家にリサイクルプラントの利用を啓発。利用者には補助制度も用意。特に大規模酪農家や集落単位で導入を図り、クリーンエネルギーの町を浸透させたい狙いだ。
 「プラントの価格は全国的に普及や小型化が進んだので下がっている。農家個々のクリーン意識の高さを求めたい」と期待する。
〈ことば〉