ID : 213
公開日 : 2006年 2月 2日
タイトル
気仙杉「トビクサレ」防げ スギ穿孔性害虫講習会 今後の被害拡大を懸念
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新聞名
東海新報
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元URL.
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws1191
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元urltop:
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写真:
 
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気仙でもスギノアカネトラカミキリによる「トビクサレ」や、スギカミキリによる杉林への被害拡大が懸念されている中で、気仙地方林業振興協議会と大船渡地方振興局によるスギ穿孔性害虫講習会が三十一日、大船渡市三陸町内で行われた。参加者は被害のメカニズムを学んだほか、現地研修では実際にスギノアカネトラカミキリの被害にあった杉を確認し、被害拡大を防ぐ方法を確認した。
 杉への「トビクサレ」とは、スギノアカネトラカミキリが枯れ枝部分から侵入して産卵。幼虫が成虫になるまで幹を食べ、幹が変色、腐食する状態となる。変色した杉は市場価値が著しく低下し、収入面への影響が大きい。スギカミキリも下部の幹に侵入し、変色や腐食などの被害を及ぼす。 具体的な被害実態を示すデータはないものの、県内外で被害が拡大しており、気仙でも実際に被害にあった杉林がみられる。被害木は樹齢二十~四十年生に集中するため、造林によって同年代の杉林が多い気仙でも今後の被害拡大が懸念されている。 外見では被害の判別がつきにくいため、正しい知識を深めることで対策をとってもらおうと講習会を企画。気仙の林業、行政関係者ら約二十人が出席した。 室内研修は大船渡市役所三陸支所で開催。講師は県林業技術センターの高橋健太郎氏と、独立行政法人・森林総合研究所東北支所の後藤忠男氏。高橋氏はスギカミキリについて、後藤氏はスギノアカネトラカミキリの被害について解説した。 高橋氏はスギカミキリについて「沿岸南部では被害があってもおかしくない」と指摘。樹齢十年生から被害が発生し、三十年生頃がピークになるほか、樹高一?以下に被害の目印となる穴が開くことなどを説明。被害については侵入が予想される杉に粘着テープを巻くことや、粗皮をはぎ取ることなどを紹介した。 スギノアカネトラカミキリについては、後藤氏によると以前から天然杉が生えていた地域で確認されてはいたが、非常に珍しい品種だった。造林によって杉が増えたことから生息が各地で確認され、「大船渡でも平成四年の段階で確認されている」という。 東北では樹齢十八年生前後から被害が出るとされ、枯れ枝部分で侵入することから、後藤氏は枝打ち対策を強調。「枝打ちをしないで間伐し、そのまま放っておくのは危ない。間伐後の管理が大切」と述べ、収穫目標などを立てた上での管理方法を提案した。 引き続き、現地研修を三陸町綾里の新県行造林・砂子浜事業区で実施。林内では実際にスギカミキリ、スギノアカネトラカミキリの被害を確認。後藤氏が被害に遭った杉の判定方法などをアドバイスした。 「トビクサレ」は林業関係者の中では一般的に知られているが、被害のメカニズムや判断に関する知識はまだ広まっていないという。松くい虫などのように被害が急速に拡大する可能性は低いが、土着性が強いことから、振興局では今後も講習会を開催することで、早期の被害対策を促すことにしている。 出席した林業関係者からは「手入れされていない林では、こうした被害が見られる。最近はやはり増えてきた」「粘着テープは費用がかかり、木材価格が低下している中では導入が難しい部分がある」といった声が出ていた。