ID : 3775
公開日 : 2007年 5月12日
タイトル
森林・林業白書/追い風生かし活性化へ
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新聞名
日本農業新聞
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元URL.
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/news1/article.php?storyid=180
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元urltop:
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写真:
 
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国産の木材利用や、国内林業の活性化を進めるには、今が絶好の機会と言える追い風が吹いている。2006年は輸入木材の価格が大幅に上がる中で、国産材の加工技術が向上して、用途が一層、広がっている。一方で戦後、植林した木が木材として利用できるまでに育っており、資源が充実している。国産材の安定供給態勢を急いでつくる必要がある。06年度の森林・林業白書が11日、発表された。緑豊かな国土を未来に引き継ぐため、「美しい森林づくり国民運動」などの取り組みを盛り上げていきたい。
 全国の森林面積は約2500万ヘクタールで、このうち天然林が1400万ヘクタール、人工林は1100万ヘクタール。人工林のうち伐採後、植林せずに放置したり、植林した後、間伐などの手入れをしなかったりで、森林としての本来の機能が十分に発揮できないものが6割あるとされている。
 国産材の活用や林業の活性化を進めるには、まず、この“放置林”対策をしっかり行うことから始めるべきだ。さもないと、京都議定書での約束を守るための森林による二酸化炭素の吸収量を確保できない。また、水源かん養機能や環境保全、土砂災害防止などの機能が十分に果たせず、森林・林業施策への国民の理解は得られなくなる。
 白書によると、林野庁は、京都議定書で約束した二酸化炭素の削減量を確保するために、現在、毎年35万ヘクタール行っている森林の間伐に加え、年間20万ヘクタールの間伐を行い、合計55万ヘクタールにすることにしている。しかし、このうちの44万ヘクタールは民有林であり、目標を達成するためには、一層、充実した支援対策が必要となろう。
 こうした対策を行う上で有利なのは、輸入木材の価格が上昇していることだ。06年末には、前年の平均と比べて丸太のラワンで4割、北洋カラマツで3割、製品のラワン合板で5割、針葉樹合板で4割も上がった。原因には近年、中国をはじめとして国際的に需要が増えていることや原油価格の高騰、ユーロ高などが挙げられている。
 そこで、合板や集成材メーカーには、原材料を外国産材から国産材に切り替える動きが出てきた。木造家屋の柱をとるには、植林してから40~50年かかる。現在、50年以上たった森林は全体の3割程度だが、40年前後の森林がたくさんあるので、10年後は6割になると見込まれる。資源量は充実していると言えよう。
 これからは、資源量を生かし、安定供給に結びつけることが重要になる。これまでのように個々の森林所有者が小規模な林業生産活動をあちこちで行うよりも、森林組合などが施業をまとめて受託、高性能機械を活用すれば、効率化、低コスト化が図れる。
 森林は「緑の社会資本」とも言われる。100年後も健全な森林が維持できるよう、安定し、持続的な施策の充実を望みたい。