ID : 3811
公開日 : 2007年 5月16日
タイトル
森林・林業白書 国産材利用に弾みつくか
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新聞名
山陽新聞
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元URL.
http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2007/05/16/2007051610362786006.html
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元urltop:
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写真:
 
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政府が先日閣議決定した二〇〇六年度の「森林・林業白書」は、国産材の価格低迷で長く苦しんできた林業関係者にとって少し気分を明るくしてくれる内容となった。
 わが国は国土の三分の二を森林が占め、その四割が人工林だが、安い外材に押されて林業生産が停滞、放置林も多く憂慮されてきた。だが、白書は状況の変化を伝える。中国の木材需要増加や原油高による輸送コスト増大などを要因として輸入木材の価格が上昇し、相対的に国産材の競争力が高まってきた。
 中国の丸太輸入量は〇五年に三千万立方メートルと世界一を記録した。〇六年に日本が輸入した木材の価格を見るとラワン合板が前年比で五割、針葉樹合板は四割上がった。国産のスギ材が、競合する輸入ホワイトウッドより安いといった現象も起きている。この結果、原材料を外材から国産材にシフトする集成材メーカーなども現れている。長く10%台だった木材自給率は〇五、〇六年と20%を超えた。
 白書は、こうした木材市況を踏まえ「国産材のシェアを伸ばす好機」と分析する。価格の上昇は消費者から見れば好ましいことではないが、林業関係者の観点に立てば確かにチャンスであろう。
 地球温暖化防止の点でも森林の役割は大きい。白書は、日本の温室効果ガス削減目標のうち森林による吸収分を達成するため、間伐など適切な森林整備の必要を訴える。
 間伐材や製材くずを燃料などに使う木質バイオマスが脚光を浴びていることも林業には追い風である。白書は、先進例として真庭市の取り組みも紹介している。
 国産材のシェア拡大、林業再生に向け、具体策として白書は小規模所有者が多い山林を集約して森林作業の効率を高めることや、作業機械の導入を挙げる。住宅メーカーの要望に沿う集成材の加工技術向上なども促している。
 しかし、森林作業の効率化は簡単ではあるまい。私有林所有者の四分の一は既に地元を離れ、森林組合未加入の人も多い。山林集約化の障害になろう。作業機械の導入にも資金がかかる。
 林業就業者は一九六五年の二十六万人が〇五年には四万七千人弱まで減り、産業として衰退している。若者の確保策や資金面でバックアップが必要だろう。国を挙げて林業を盛り立てられるか、国の林野行政の正念場でもある。
 林野行政に関しては、先に独立行政法人「緑資源機構」の林道整備をめぐる官製談合が摘発された。林業再生に重要な時期だけに残念だ。あらためて反省を求めたい。