ID : 3851
公開日 : 2007年 5月21日
タイトル
林業白書/国産材安定供給の青写真を
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新聞名
世界日報
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元URL.
http://www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh070520.htm
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元urltop:
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写真:
 
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林業白書/国産材安定供給の青写真を 林業復活の兆しが見えている。先日、閣議決定された二〇〇六年度の「森林・林業白書」で、外材輸入価格が上昇したことを林業復活の好機ととらえ、「国産材の供給体制づくりを進めることが必要」と強調している。妥当な論だが、着実な復活にはその担い手の育成をいかにするか、困難な問題への対応も周到を要する。
自給率が20%台を回復 白書では、〇五年に国産材の利用率(自給率)が七年ぶりに20%台を回復するなど追い風の中、百年先を見通した健全な森林を造るため、林業・木材産業再生の必要性を改めて指摘した。国産材の利用をさらに進めるためには、安定供給体制の整備、流通の合理化などによる競争力向上、収益性確保へ関係者の配慮を求めた。 わが国の林業は、外材が増大した昭和四十年以降採算が取りにくくなり廃業が続いた。今では、五ヘクタールに満たない零細林業家が全体の九割を占め、生産や流通の規模が小さく、しかもその工程が多くの段階に分かれていて非常に非効率な生産形態となっている。白書が指摘するように、製材工場の規模を大きくすることでコストを下げる体制づくりなどが必要だ。
 だが、いかに追い風とはいえ、一度、落ち込んだ産業を復活させるのは容易ではない。わが国は既に、山間部を中心として全国の四割を超える市町村が過疎法の指定を受ける地域となってしまっている。一時期、山間地域が投資の対象となったため、全国で森林所有者は二百万人いるが、このうち実質的林業家は二十万人に満たないという現実もある。
 今後、林業の担い手を糾合するには、官民が一体となり林業再生の中期的なプランを立て、過疎の克服、町づくりという課題に取り組まなければならない。国や県は適切な森林の管理や山村の生活基盤として重要な林道の整備を行うなどのバックアップも必要だ。
 林業の復活と町づくりがうまくかみ合っている岩手県住田町の例を挙げてみよう。住田町は、総面積の95%を森林が占める林業の町で、良質な気仙杉は有名だが、木材価格の低迷で過疎化が続いていた。しかし三年前から、産地で供給される原材料を集成材用ひき板に製材する事業を町が立ち上げ、林業関連産業町を宣言、県から支援も得た。人口六千人の町だが、地元の若者たち百七十人を雇用、町に活気が戻り、昨年、農水省に「森林・林業日本一町づくり」と評価された。杉のブランドを生かし新技術を取り入れ、生産・流通・加工体制の整備に取り組んだ結果だ。
 一方、白書では森林の公益的機能の重要性を挙げ、森林保全のため森林環境税を導入する県が半数を超えたことについて、「森林整備を社会全体で支援するという意識の醸成につながる」などとしている。
 森林環境税設置は、三年前の農水省の全国調査で、樹木伐採後三年以上も造林が行われず放置された民有林がその四年前に比べ12%も増えていることが明らかになった背景がある。民有林の放置やはげ山化は憂慮すべき事態であるが、その処置を税金で賄うには限界がある。森林の整備・管理につながる林業復活の重要性はここにもある。

人工林の定期的な間伐を 水源林を守ったり、土砂流出を防ぐには、人工林の定期的な間伐が必要だ。森の中に日が差し込めば、草や低木が生い茂る結果、土壌の質が保持され、防災につながる。造林されず放置されたはげ山が増えるのは由々しきことだ。