ID : 3982
公開日 : 2007年 6月 3日
タイトル
森林・林業白書 輸入材高騰機に国産材拡大へ
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新聞名
宮崎日日新聞
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元URL.
http://www.the-miyanichi.co.jp/column/index.php?typekbn=1&sel_group_id=7&top_press_no=200706032302
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元urltop:
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写真:
 
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わが国の木材産業は長年、安い輸入材に押され林業経営者の収入減、経営意欲の減退、供給力低下と悪循環を続けた。これは本県林業の実情とまったく重なり深刻な課題だった。
 ところが、近年は輸入材の高騰などから、国内の木材自給率の低下に歯止めがかかってきた。こうした傾向は国産材利用拡大の好機と言える。
 政府は国産材供給量を2015年には04年に比べ35%増の2300万立方メートルとする森林・林業基本計画の目標達成に向け、関係業界の経営改革を進めるとした06年度の森林・林業白書を示している。今こそ国内林業再生に向け、経営基盤、生産・流通面の強化を着実に進める必要がある。
■海外の木材需給変化■
 日本は、もともと森林資源に恵まれていたにもかかわらず、安価な北米やアジア産の木材に依存してきた。その結果、1960年ごろには80%以上だった木材自給率は04年には18・4%にまで低下してしまった。ところが白書によると、05年には20%台に回復。06年もさらに上昇する見込みだ。
 確かに国外の現状を見ると、中国では五輪を控えた建設需要でロシア産の材木を積極的に調達。米国では一昨年までの住宅ブームで、北米の輸出余力が減った。さらに円安基調から、輸入材の価格が割高になるなど、外国産材の調達が困難な状況になっている。
 こうした背景に加え、国内では戦後の木材不足を解消するため50年代以降に全国各地で大量植林されたスギなどの人工林が、伐採適齢期を迎えており、白書では今が国産材を見直す好機ととらえている。
 しかし、本県の私有林では、伐採後に再造林されるのは約8割程度で再造林が進まないなど、放置林の増加が全国的に深刻な問題になっている。今後、林業就業者の確保など生産面のてこ入れが重要になってくる。■担い手の確保不可欠■
 再造林が進まず、放置林が増えるということは将来的に見れば国産材の安定供給という点で大きな不安材料となる。背景には、産業としての衰退があまりにも長く続いたこと。また、その間、林業就業者が高齢化し後継者が育っていないことなどがある。
 全国の私有林では、林業就業者の代替わりによる相続で、山林所有者が現地に住まない「不在村森林所有者」が増え、全面積の約4分の1が「不在村者森林」となっている。
 本県の林業就業者数を見ても、60年の1万7403人をピークにその後減少を続け、05年には2311人と約7分の1にまで激減した。
 高齢化、後継者不足、小規模経営、不在村とくれば森林の管理が行き届かなくなるのは当然であり、担い手確保のためには林業・木材産業全体の採算性の向上を図ることが不可欠だ。
 白書は、林業再生、木材安定供給に向けて多くの施策を掲げている。
 たとえば、小規模所有者が多い山林を集約化し作業効率を高める―。需要が高い集成材の技術開発を促す―などだ。これにより国産材の競争力と収益力を強化するという。
 最近の木材自給率上昇は、あくまで国際的な需給変化によるもので、国内林業、木材産業が構造的に体力を付けたわけではない。ただ、国産材の供給拡大を図る好機には間違いない。このタイミングを逃がすと国内林業は、低迷を続けることになる。