ID : 4418
公開日 : 2007年 8月 6日
タイトル
緑のオーナー制 お役所仕事の典型だ
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新聞名
信濃毎日新聞
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元URL.
http://www.shinmai.co.jp/news/20070807/KT070806ETI090002000022.htm
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元urltop:
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写真:
 
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国有林育成のため、出資金を募り、伐採した収益を出資者に還元する林野庁の「緑のオーナー制度」で、ほとんどのケースが元本割れしていることが分かった。原因は木材価格の低迷である。
 問題は、同庁がオーナーに対し、制度の危険性も含めた見通しを十分に説明してきたか、疑問が残ることだ。お役所仕事と批判されても仕方ない。国有林経営が厳しさを増す中、森林行政の甘さを露呈する格好となった。
 緑のオーナー制度は、1984年度に創設された。一口50万円(一部25万円)の出資金を市民らから集め、間伐など森林の管理に充てる。15-30年の契約期間が満了したとき、成長した木を入札で販売し、収益を出資者同士で分け合うことを目指す、というものだ。
 オーナー募集は98年度まで続いた。延べ8万6000の個人・団体から計約500億円の出資金を調達し、北海道から九州まで計約2万3000ヘクタールを管理してきた。県内では、延べ2570の個人・団体が計約20億円を出資している。
 同庁がオーナーの公募をやめた主な理由は、▽国有林面積に占める伐採対象地の割合が大幅に削減されて、制度に適した森林が見つけにくくなった▽木材の価格低迷で契約者の受取額が払込額を下回る可能性がある-ことだった。経過を見ると、早い段階から同庁が元本割れの危険性を認識していた可能性がある。
 2000年2月、初めてオーナー制度の契約が満期を迎え、入札が福島県など3カ所であった。このとき、出資金を上回る収益を還元できたのは1カ所だけだった。
 一口あたりの落札額が50万円を上回ったのは最初の年だけで、その後はずっと元本割れの状態が続いているという。06年度の落札額は平均で29万5000円にとどまり、98%が元本割れとなった。05年度は27万7000円で過去最低だった。
 同庁によると、92年度の募集までは契約書などに元本割れの危険性について掲載していなかった。批判を受けて翌年度からパンフレットに記載した、という。
 日本の森林を守りたいというボランティア精神で申し込んだ人もいただろう。だが、オーナーの中には、なけなしのお金をつぎ込んで元本割れに泣いた高齢者もいた。
 なぜ、林野庁はこのような甘い見通しのまま事業を進めたのか、検証が必要だ。このままでは森林行政への信頼はますます低下する恐れがある。日本の森林をさらに危機的な状況に追いこむことにもつながる。