ID : 4456
公開日 : 2007年 8月11日
タイトル
緑のオーナー 県内の元本割れの実態も深刻だ
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新聞名
愛媛新聞
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元URL.
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017200708101191.html
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元urltop:
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写真:
 
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国有林の杉やヒノキに出資してもらう林野庁の「緑のオーナー制度(分収育林)」が、大幅に元本割れしている。  制度は一口五十万円で資金を集め、下刈りや間伐などの育成費用に充てる。成長した立ち木を売り、収益を契約者と同庁で分け合う仕組みだ。  出資者は森林育成に協力できる上、利益を得る。国は民間資金で国有林の手入れができる。一石二鳥のはずだった。  しかし、安価な外国産材の輸入急増やバブル崩壊による不況で国産材の市況が低迷。制度の狙いは完全にはずれた。  林野庁の調べでは、一九九九~二〇〇六年度に森林五百七カ所で立ち木が販売され、うち四百八十カ所で収益が出資額を下回り、約一万の個人・団体が元本割れの損失を受けた。  販売額が最低だったのは〇五年度で、五十万円の出資に対し平均二十七万七千円だった。〇六年度は少しましで、二十九万五千円だった。出資者は大もうけを夢見たわけではない。しかし、これほど損失が出たのでは平静でいられない。  しかも募集を始めて十年ほどはパンフレットに元本割れリスクの記載がなかった。説明も十分してなかったようだ。これは大きな失態だ。出資者は詐欺に遭ったような心境だろう。  県内の実態はさらに深刻だ。愛媛森林管理署によると〇三、〇六年度に宇和島市など県内四カ所の国有林で立ち木を販売し、一口当たりの平均販売額は二十万五千円だった。全国平均よりまだ悪い状況だ。  出資者は県内の四十八人を含む百七人で、百二十六口、計六千三百万円を出資していた。元本割れの損失は約三千七百万円に上る計算だ。  ほかにも同署管内では、五十六カ所の国有林を対象に県内外の千八百五十二人が二千二百三十四口を出資している。これらも元本割れは必至だろう。  林野庁は「利殖を目指した制度ではなく、元本保証は考えていない」としていたが、被害の深刻さに農水省は「どういう対応が取れるか検討を進める」と微妙に姿勢を変えた。  善意の出資でリスクの説明も十分でないのだから、何らかの損失補てんは必要だろう。  身近な例がある。上浮穴郡久万町(現久万高原町)は町有林で一口三十万円の分収育林(ふるさとの森事業)を始め、約二億九千万円を集めた。が、大幅な元本割れが確実となり、数年前に元本を返還した。  東宇和郡野村町(現西予市)は財産区の区有林を対象に一口三十万円の出資を募り、約一億二千万円を集めた。しかし、同じ事情で全額を返還した。  両町ともリスクの説明はしておらず「道義的責任を取った」としている。ふるさと産品を出資者に定期配送するなど、都市と農村の交流という面で一定の成果があったし、元本を返還したのだから、大きな混乱もなく解決したのは当然だろう。  事業規模は違うにせよ、町にできて国はできないという理屈はないはずだ。