ID : 4589
公開日 : 2007年 8月28日
タイトル
林野庁VS環境省、政府使用のコピー用紙めぐり火花
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/national/update/0828/TKY200708280442.html
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元urltop:
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写真:
 
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コピー用紙に間伐材を認めるか、現行の古紙100%維持か――。省庁や国会、裁判所で使われるコピー用紙の規格をめぐり、林野庁と環境省が火花を散らしている。環境に配慮した物品購入を政府に促すグリーン購入法で、現在、政府が使えるのは純粋な古紙再生紙のみ。間伐を提唱する林野庁が用途拡大を迫る一方、環境省は「リサイクルの後退につながる」と譲らない構えだ。
 政府は01年にグリーン購入法が施行した当初から、環境物品の調達推進基本方針でコピー用紙は古紙配合率100%と定め、地方自治体や企業にも国の方針を参考にするよう求めている。コピー用紙以外の印刷用紙やフォーム用紙などは古紙70%以上とし、間伐材や端材の利用も認めている。国が使う用紙類の8割はコピー用紙で年間5万8000トン(05年度)に上る。
 林野庁は森林の保水力を高め、土砂崩れや河川の洪水を防ぐ効果を高めるため、補助金をつけて間伐を推進してきた。しかし、間伐材は木材としての市場価値は低く、森林に山積みされた間伐材は年間850万立方メートルに上る。事務用品の象徴であるコピー用紙に用途を広げて間伐推進の追い風にしたい考えだ。
 林野庁の担当者は「健全な森林を保つには間伐は不可欠。持続可能な森づくりは温暖化防止にも貢献する。間伐材を使おうと旗振り役をしている我々自身がコピー用紙にすら使えないのでは立つ瀬がない」と嘆く。
 北海道では05年度から道庁が独自にコピー用紙の調達方針を見直し、道産間伐材を15%以上使う条件を盛り込んだ。だが、ためらう自治体もある。熊本県の担当者は「国が基準を見直さない限り、勝手に変更はできない」と話す。
 北海道と九州の4県は政府の規制改革会議に「古紙100%」の基準を見直し、間伐材の利用を求める要望を6月に提出。渡辺行政改革担当相は7月6日の閣議後会見で地方からの要望の具体例としてこの件に触れた。
 一方、グリーン購入法を所管する環境省は資源循環を推進する立場。古紙100%と政府が打ち出したことで古紙回収率を上げてきたとの自負もある。コピー用紙の市場に占める古紙100%のシェアは同法施行前の00年度の11%から05年度には34%まで伸びた。古紙回収率はここ5年で6割から7割まで高まった。
 しかし、想定外の事態が起きた。中国やタイ、韓国の古紙需要の高まりから、日本で回収された古紙の輸出が猛スピードで進んだ。00年の37万トンから06年は389万トンと10倍増。輸出の8割が中国向けだ。回収率が上がっても輸出に回ることで、再利用率は60%前後で頭打ちが続く。
 国内の古紙の調達コストの高まりから7月下旬には、製紙各社の業界団体・日本製紙連合会が、環境省に政府のコピー用紙の古紙使用割合を70%に引き下げるよう見直しを求めた。
 同省の担当者は「古紙100%のコピー用紙は資源循環の象徴。公費を使って地球環境を改善していくのが制度の趣旨で、リサイクルの後退につながるような見直しは軽々にはできない」と主張する。間伐材についても、持続可能な森林経営に役立つとの国際的な定義が確立されていないと突き放す。現時点で古紙100%の基準を変える必要はないとしている。
 政府の調達方針は毎年見直され、環境省は9月から関係者へのヒアリングなどを実施して次年度へ向けた検討に入る。