ID : 4600
公開日 : 2007年 8月30日
タイトル
緑税充て高齢林を植え替え 兵庫県
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新聞名
神戸新聞
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元URL.
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/kz/0000584913.shtml
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元urltop:
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写真:
 
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森林の荒廃が進んでいる。国産材の需要低迷で伐採・間伐されないまま放置されたスギやヒノキの人工林は風水害に極めて弱くなっているほか、シカによる食害も拡大している。兵庫県は県民緑税を使って人工林に、広く根を張る広葉樹を混植し、「強い森」づくりを急ぐが、根本的な解決には伐採を促す木材利用が不可欠だ。県産材を加工・流通させる大規模施設の計画も進んでいるが、森と防災・環境問題とのかかわりについての認識が広がることがより重要となっている。(辻本一好)

 宍粟市一宮町のスギ、ヒノキ人工林の中。光が入らないので昼でも暗く、草の緑や低木は見当たらない。斜面の所は岩や石がむきだしになっている。草木がなくなって山の表土も流されてしまったためだ。
 「ヒノキの場合は見た目も悲惨」。春名貞夫・県専門技術員が指した高さ二十メートルのヒノキはどれも木の先だけ緑はあるが、そこから下まで葉のない枯れ枝が残る。まるで魚の骨のようだ。
 三年前の台風23号などの風水害で県内では三千ヘクタールの森林が倒れた。広葉樹林に被害はなく、ほぼすべてがスギやヒノキだった。こうした森林は倒木したり崩壊しやすいだけでなく、「保水」という森林の重要な環境機能を失っている。
 本来、森では草や低木が土を抑え、その上に積もる落ち葉の層が雨をスポンジのように吸収する。雨水は山に浸透し地下水がはぐくまれる。しかし、こうした山では降った雨がそのまま川に直行して一気に増水する。
 三年前の台風被害の経験から県は、風水害を受けやすい樹齢四十六年以上の高齢林千ヘクタールを、五年で混交林に変える防災事業を二〇〇六年度から始めた。一年に七カ所計二百ヘクタールずつ人工林に一-二ヘクタールの単位でパッチワーク状に広葉樹を植える。
 木を運搬する道路づくりとケヤキなどの広葉樹の植樹、苗をシカから守る柵や網の設置の費用を県民緑税からの年二億五千万円で賄う。
 「間伐不足で過密化した森は、道路ができただけでも光が入って状態が改善される」。県林務課の谷口英樹主査が話すように、緑税でできた道路沿いの木々の根元には草木が戻っている。
 しかし、高齢林は県内で一万三千ヘクタールあるほか、若い森でも細くて弱い木ばかりになって伐採して木を植え直すほかない状態にある森も多い。谷口主査は「今回の事業で防災、環境への意識が高まって木材生産も活発化するきっかけになってくれれば」と期待を込める。