ID : 4610
公開日 : 2007年 9月 2日
タイトル
社説:森林環境税 疑問残る県の見直し案
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新聞名
秋田魁新報
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元URL.
http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20070902az
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元urltop:
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写真:
 
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県が来年4月の導入を目指している森林環境税「水と緑の森づくり税」の見直し案が明らかになった。単年度で約6億円という税収と、個人や法人に課す税額は変えず使途だけの変更である。6月定例県議会で継続審査となった関連条例案は原案通りとしたまま、5日開会の9月定例会で審議される。
 市町村や県民との意見交換会などを経た上での変更なのだろうが、疑問の残る見直し案となった。当初案では使途の50%を占めていた針・広葉樹の混交林化事業が一挙に30%へと縮小したのである。混交林化は県議会でも「内容が不明確」と度々指摘されてきた事業ではあった。だが提案した県が最も重要と位置づけた事業の柱をこうしていとも簡単に縮小するのでは、そもそも何を目的とした税導入だったのか、本当に必要な税なのかと首をひねりたくなる。
 見直す行為が悪いと言っているのではない。県民に税負担を求める立場の県の定見のなさを指摘しているのである。
 標高の高い場所や尾根筋など本来は生育に適していない山に植林された杉は生育状況が芳しくなく、土砂災害の発生防止などの公益的機能が低下している。混交林化は、そうした山林に広葉樹を取り込むことで健全な杉林を育成し、同時に山の保水力を高める狙いがあったのではないか。県がなすべきなのは、山を放置した場合に将来どんな弊害が予想されるのか、よりかみ砕いて県民に説明することではなかったか。
 見直し案で代わって7%から26%へと一挙に比重を増したのは県民参加の森づくり事業である。その理由を県は「県民が事業の成果を実感できるための拡充」としている。使途が分かりやすい事業を増やして、税導入への県民理解を求めようという意図が透けて見える。本末転倒であろう。税収6億円という大枠は変えず、使途を変えて帳尻を合わせる?そんな印象が免れないから、「税ありき」の構想との指摘が出るのである。
 県が8月上旬に実施した県民アンケートで、税導入に賛成と答えた県民は50・6%、企業は49・4%でともに反対を上回った。使途に関しては県民、企業ともに賛成者の6割が混交林化をトップに挙げている。見直し案はこの結果とも矛盾しないか。また、アンケートでは、使途として混交林化に次いで多かった松くい虫による被害マツ林の景観回復は見直し対象とはならず、むしろ当初案の17%から1ポイント下がった。
 森林が県土の七割を占める“美林の国”の名が今、泣いている。利用もされず、間伐もされずに放置されたままの杉林、里山が県内各地に散在。海岸部に目を転じると、松枯れ被害で焼け跡と見間違うばかりの荒涼たる光景が広がる。
 こうした現状をどう打開するのか、県議会の議論からはそうした危機感が伝わってこない。3年余り前から県議会、県の双方が税導入の検討を始めながら、いまだに議論は入り口論に終始している。税が必要ならば本質論を展開すべきであり、不必要ならば対案の検討を急ぐべきだ。こうしている間にも山林の荒廃は拡大を続けている。