ID : 4645
公開日 : 2007年 9月 6日
タイトル
県の森林税 県民の声をじっくりと
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新聞名
信濃毎日新聞
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元URL.
http://www.shinmai.co.jp/news/20070906/KT070905ETI090003000022.htm
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元urltop:
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写真:
 
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長野県が森林整備のための財源として、森林税の導入を検討している。早ければ12月県会にも関連条例案を提出する日程で調整に入った。
 地球環境の視点からも、森林の手入れは重要な課題である。だが、県民に負担を求める以上、詳しい理由の説明と、広く意見を聞く手続きが欠かせない。丁寧な検討を村井県政に求めたい。
 長野県の森林面積は105万ヘクタールを超え、県土の約8割を占める。北海道、岩手県に次ぐ広さだ。国有林以外の民有林が6割を超え、そのうちの4割強が個人所有である。
 採算が合わないことに加え、所有者の高齢化もあって、間伐などの整備の遅れが目立つ。放置すれば災害につながる危険もある。
 近年は、水源保全や温暖化防止といった環境対策の面からも、手入れの必要性が指摘されている。総合的な対策が求められている。
 森林税は、県民から新たに税金を徴収して、整備事業の財源に充てる構想だ。県林務部によると、高知、鳥取、静岡など全国で24県が何らかの形で導入している。
 いまのところ県林務部は、個人、法人県民税に上乗せして徴収する方式を考えているようだ。他県のケースだと、個人の場合、年間500円前後のところが多い。
 村井仁知事は、ことし5月に「県森林づくりの費用負担を考える懇話会」(菅原聡座長・11委員)を設置し、検討を続けてきた。懇話会が県の示した案を大筋で了承したのを受け、最短で12月県会に条例案を提出する方針だ。
 森林税の考え方は検討に値する。県民の森林への関心を高める効果も期待できる。
 だが、県民に新たな負担を求める増税政策だ。きちんとした理由、森林整備をめぐる計画などについて、丁寧な説明が要る。
 例えば、村井県政は2007年度予算では公共事業に力点を置いた積極財政に転じた。森林整備の財源も、既定の予算枠で収められないのか。増税によってどの程度の整備ができるのか。一つひとつ、県民の理解を得なければならない。
 県は、メールやファクスなどで意見を求めるという。県民集会やシンポジウムも開く予定だ。それをもとに、10月末の懇話会で提言を取りまとめる。
 手続きは踏んでいるものの、県民が意見を述べたり、論議したりする期間が2カ月間ほどでは、急いでいる印象はぬぐい切れない。県民の関心を盛り上げていくためにも、腰を据えて検討を進めたい。