ID : 4698
公開日 : 2007年 9月12日
タイトル
世界的な紙需要増大に備え、商社が植林投資に熱
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/business/update/0912/TKY200709110527.html
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元urltop:
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写真:
 
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世界的な紙需要の増大に備え、総合商社各社が製紙原料の確保を急いでいる。環境保護に向けた森林伐採制限の動きもあるため、原料チップ用の原木を育てる植林が中心だ。木材資源が枯渇しないように10年単位の息の長い投資が必要だが、今後の値上がり益への期待も大きい。
 商社で紙・パルプ取扱高首位の丸紅は昨年末、日本製紙と折半で約60億円を投じてブラジルの植林・チップ生産会社を買収。丸紅は05年にもインドネシアで同国最大規模の植林事業の経営権を取得しており、参画する植林事業の合計面積は日本の商社では最大の約40万ヘクタールに達し、日本のチップ輸入量の約3分の1をまかなえる規模だ。縮小気味の国内の紙流通市場に対し、製紙原料市場は「中国を中心に世界需要の伸びが見込める有望分野」と見込んでいる。
 他の商社も新たな投資に積極的だ。伊藤忠商事は王子製紙などと共同出資するブラジルでのユーカリ植林地(現在約25万ヘクタール)を買い増す検討に入った。ベトナムと豪州に計約2万ヘクタールの植林地を持つ双日は「南米か南アフリカにも拠点を加える」(木ノ下忠宏・物資部長)準備を進める。
 生育が早いユーカリやアカシアでも植樹から伐採まで10年程度かかる。商社各社が90年代に日本の製紙会社と共に進めた植林が収穫期を迎える中で、チップ価格(西豪州)は00年の1トンあたり161豪ドル(約1万5000円)から07年には189豪ドルに上昇。植林事業には追い風だ。利益率は数%で、高騰が続くエネルギー関連の資源権益には及ばないが、伐採した本数と同数を植樹するなどの手法で、持続可能な資源ビジネスとして拡大を期待している。
 国内の紙需要は少子化や紙以外の情報媒体の出現で横ばいが続く。だが中国では産業用包装紙などを中心に現在約6000万トンの紙需要が2010年には9000万トンまで伸びると見込まれるなど、新興国の輸入増が供給不足を生んでいる。一方、これまでの大供給地・北米では環境保護意識の高まりから新たな伐採が難しくなり、ロシアも原木輸出への課税強化の方針を打ち出している。
 さらに国内でも、事務用紙の大口顧客となる富士ゼロックスやリコーなどの大手事務機器メーカーが「天然林を伐採して作った紙は使わない」とする環境保護のための指針を導入。紙原料の新たな供給元は「事実上、南半球での植林材に限られた」(岡野修明・三井物産紙パルプビジネスユニットリーダー)という。
 ただ温暖で降雨が見込めることが条件の植林適地は農業適地と重なる。食糧価格も上昇しており、農地との奪い合いは収益力の面で分が悪く、「植林適地の大規模な確保は簡単ではない」(伊藤忠商事)という。
 双日は、ベトナムで現地の林業家に対する植林費用の融資や苗木の無償配布を続ける。融資先や配布先から育った木材を優先的に買い取ることで、土地買い増しをしなくても原料の確保ができるからだ。
 豪州では税制優遇を受けられることから、植林に出資する「植林ファンド」の組成が盛んだ。三井物産はこうしたファンドからの買い付けを検討している。